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歯周病の「手遅れ」とは? 症状から確かめる進み方
歯ぐきから血が出た。口臭を指摘された。歯が少し動く気がする。そう気づくと、「もう手遅れではないか」と不安になりますよね。
結論から言うと、歯周病に「ここから先は手遅れ」という一本の線があるわけではありません。日本歯周病学会の指針でも、歯周病の進み方は、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目にあるすき間)の深さなどを測って、軽度・中等度・重度に分けて見ます。
🦷 先に結論
出血・口臭・ぐらつきは、歯ぐきの炎症や、歯を支える骨に変化が出ているかもしれない合図です。どこまで進んでいるかは、お口の中を診ないと分かりません。そして、進んでいても、そこからできる治療があります。
歯周病の「手遅れ」に、決まった線はあるのか
歯周病のうち、炎症(歯ぐきが赤く腫れる反応)が歯を支える骨まで広がったものを歯周炎といいます。歯周炎の進み方は、軽度・中等度・重度の3つに分けられ、分ける目安は歯周ポケットの深さです。
歯周ポケットは、健康なときはごく浅く、歯周病になると深くなっていきます。
下の表は、歯周炎と診断されたときの分け方です。ポケットが浅いだけでは、歯周炎とは限りません。
同じお口の中でも、歯によって進み方は違います。いちばん重い歯を基準に病名をつけます。
また、ポケットの深さだけで治療が必要かどうかが決まるわけではありません。歯を支える骨の状態やぐらつき、全身の状態も合わせて見ます。
だから「手遅れかどうか」は、ひと言では決められません。一本ずつの歯の状態を見ていくことになります。
出血・口臭・ぐらつきは、進み方のどこにあたるのか
歯周病は、歯垢(プラーク・歯の表面に付く細菌のかたまり)で歯ぐきに炎症が起こり、ひどくなると歯を支える骨を溶かしていく病気です。
症状の出方は人によって違います。症状だけで段階を言い当てることはできません。下の表は、あくまでおおまかな目安です。 どの段階にあたるかは、歯ぐきを調べた結果をもとに歯科医師が診断し、分かりやすくお伝えします。
出血や口臭は、歯ぐきだけの炎症の段階でも、骨まで進んだ段階でも出ます。外から見ただけでは、どちらの段階なのか分かりません。見分けるには、ポケットの深さを測り、レントゲンで骨の様子を見る必要があります。

出血:初期から見られ、進んでからも見られる
歯みがきのときの出血は、歯周病の初期から見られます。進んだ段階でも出血は見られます。
血が出たからといって、必ず歯周病とは限りません。けれど、歯ぐきから血が出ることは、一度お口の中を診てもらうきっかけになります。
口臭:歯周ポケットが深くなると出ることがある
歯周ポケットが深くなると、そこに細菌がすみつき、においのもとになる物質を作ります。お口の中にある口臭の原因として、いちばん多く考えられるのが歯周病です。
ただ、口臭だけでは、どこまで進んでいるかは分かりません。口臭には、歯周病以外の原因もあります。
ぐらつき:骨に変化が出ているかもしれない合図
歯を支える骨が溶けてくると、歯がぐらつくようになります。
ぐらつきがあっても、すぐに抜くと決まるわけではありません。歯ぐきに強い炎症があるときは、歯のぐらつきが大きく出やすく、ポケットも深めに測れてしまいます。そのため、炎症が落ち着いてから改めて調べるほうが、正しく見分けられます。
痛みがなくても、進んでいることがある
歯周病は、初期にはほとんど痛みがありません。歯ぐきが赤くなったり腫れたりしても痛みはほとんどの場合なく、気づかないまま進むことがあります。
痛みや腫れを感じる時期と、感じない時期が交互に来ながら進むこともあります。痛みが引いても、炎症が落ち着いたとは限りません。痛みのあるなしにかかわらず、今の状態は調べれば分かります。
歯ぐきに変化がある人は、珍しくありません
国の歯科疾患実態調査(2024年)で、4mm以上の歯周ポケットがある人の割合を年代ごとに見ると、次のとおりです。ご自分の年代の行と、その下の行を見比べてみてください。
年齢が上がるにつれて増え、40代後半から4割を超えます。
歯ぐきからの出血がある人も、40代後半で44.4%、50代前半では49.5%と、2人に1人に近づきます。 慢性の歯周炎は、35歳以降に多いこともわかっています。
つまり、40代で歯ぐきに変化がある人は、珍しくありません。
この数字は日本全体の割合で、同じ年代の人の今の姿です。ポケットが4mm以上あっても、全員が重い状態というわけではありません。 ご自分が今どこにいるかは、歯ぐきを調べれば確かめられます。
検査でわかること、進んだ段階からの治療
歯ぐきの検査は、基本の3点を見ます
当院の歯周病の検査では、次の3点を調べます。ポケットの深さ、歯のぐらつき、出血があるかどうかです。歯ぐきの検査は、健康保険で行う流れです。
あわせて、口の中の写真とレントゲンで、歯ぐきの中の骨の状態を調べます。結果をお伝えしたうえで、治療の進め方を一緒に決めます。
進んでいても、その時点から始められる治療があります
歯周病が進んでいても、そこから治療を始められます。治療を終えたあとにまた進んだときは、もう一度、歯周病の治療をします。
治療を終えたあとの定期的な管理で、ポケットが4mmを超えて出血があれば、歯周病が進んだと判断します。
どの治療が合うかは、調べた結果で決まります。治療の結果は人によって違い、減った骨や下がった歯ぐきが元どおりになると約束するものではありません。
歯ぐきの下の汚れ取りで、できることとできないこと
歯ぐきの下の歯石や汚れを専用の器具で取る治療(スケーリング・ルートプレーニング)は、歯周病治療の基本の方法です。
5〜7mmのポケットでは、この治療でポケットが1〜2mmほど浅くなることが平均的です。人によって差があり、結果を約束するものではありません。
一方で、骨の溶け方が深くて複雑な場合や、歯の根が枝分かれする部分が進んだ場合は、この治療だけでは足りないことがあります。 そのときは、歯ぐきを切開する処置など、次の治療を検討します。
歯を残せるかは、確かめながら一本ずつ考えます
歯を残せるかどうかは、調べた結果を見て一本ずつ考えます。残すのが難しいと分かった歯については、周りの歯や歯ぐきを守るために、抜いたほうがお口全体の健康によいと判断することもあります。
迷うときは、歯石取りなどの治療を一通り終えて、もう一度歯ぐきを調べてから決めます。
どちらの場合も、ご説明をして、ご本人が納得されてから進めます。 そのあとのこと(かみ合わせや、その場所をどう補うか)も含めて、その方にとっていちばん良い方法を一緒に考えます。
落ち着いたあとも、通い続けることが大切です
治療で状態が落ち着いても、歯周病は再発しやすい病気です。そのため、落ち着いたあとも適切な間隔で通い、再発していないかを定期的に見ていきます。これを安定期治療(治療のあと、良い状態を保つための通院)といいます。
通う間隔は、歯ぐきの状態と毎日の手入れの様子で決まり、初めは1か月ごと、その後は状態に応じて3か月、6か月と空けていく場合もあります。 当院でも、中等度から重度の歯周病の治療を終えた方の来院の目安は、初めは1か月に1回、基本は3か月に1回、症状に応じて6か月に1回です。安定期治療では、ポケットの深さが増えていないか、出血がないかを見ていきます。
治療の先にあるのは、ふだんの毎日です
歯周病の治療は、歯ぐきの数字をよくするためだけのものではありません。好きな物を気にせず噛み続けたい。人と話すときに口元を気にしたくない。孫や子どもと同じ物を食べたい。通ってくださる方がよく口にするのは、そういう毎日のことです。当院の問診票で好きな食べ物や趣味を伺っているのも、治療の進め方をそこから一緒に考えたいからです。
よくある誤解
歯周病の症状は、思い込みで軽くも重くも見えてしまいます。よくある3つを、ほどいておきます。
どれも「そうとは限りません」が答えです。 症状は、歯ぐきの今を知るための合図であって、結果を決めるものではありません。
今できること:受診の目安と、自分での手入れの限界
📌 受診の目安
歯みがきのときに血が出る。歯ぐきが赤く腫れている、または下がってきた。口臭が気になる。歯と歯の間にすき間ができて、食べ物が挟まる。歯がぐらつく気がする。このどれかが気になるなら、痛みがなくても、歯ぐきの状態を調べることができます。今の状態を一度記録しておくと、そのあと経過を見るときも、変化を比べながら進め方を考えられます。
毎日の歯みがきは、歯周病を防ぐ土台です。歯ブラシの選び方や磨き方は、歯並びや歯ぐきの状態、慣れ具合で変わります。「これが正解」という一つの方法があるわけではないので、一人ずつ合わせて考えます。
ただ、歯と歯ぐきの境目の奥に付いた歯石は、歯みがきでは取れません。当院では歯科医師の指示のもとで、歯科衛生士が専用の器具を使って取ります。
歯ぐきの奥の汚れを、ご自身でさらに取ろうとしなくて大丈夫です。毎日の手入れを続けていることは、とても良いことです。そのうえで、今の歯ぐきが良い状態に保てているかを、一度調べて確かめておきましょう。歯周病の治療の流れは、当院の歯周病治療のページをご覧ください。
🌱 こうして調べていること自体が、第一歩です
気になって調べ始めた。それだけで、お口の健康に向けて大きな一歩を踏み出しています。今の状態がどうであっても、そこからの進め方があります。一緒に考えていきましょう。
予約の前に
受付では、気になっていることをそのまま伝えていただければ十分です。たとえば、次のように言っていただけると、歯ぐきを調べる予定を組みやすくなります。
- 「歯ぐきから血が出るのが気になります。歯ぐきの検査をお願いできますか」
- 「歯が少しぐらつく気がします。残せるかどうかを診てほしいです」
言い出しにくいことも、遠慮なく聞いてください。よく伺う3つに、先にお答えしておきます。
Q. 久しぶりの受診でも、そのまま予約してよいですか?
A. はい。初めの日は、今のお口の状態を調べてお伝えするところからです。そこからの進め方を、ご希望を伺いながら決めていきます。
Q. 初めの日は、何をしますか?
A. お口の中を調べて、結果をお伝えするところまでです。歯を残せるかどうかは、炎症を落ち着かせてから改めて調べ、ご説明をして納得いただいてから決めます。
Q. 費用が心配です。先に聞けますか?
A. はい。歯ぐきの検査も歯周病の治療も、健康保険で行う流れです。費用のことも、遠慮なく先にお尋ねください。
🦷 歯ぐきの状態を、検査で確かめませんか
どこまで進んでいるかは、お口の中を見てみないと分かりません。検査の結果と、あなたが大事にしたいことを合わせて、歯科医師と相談しながら進め方を決めていきます。
ご予約は24時間受付のWEB予約が確実です。ご質問や操作にお困りのときはLINE相談へどうぞ。ご家族の方が代わりにご予約いただくこともできます。
お電話(050-1784-7497)は自動音声のご案内のみで、電話でのご予約は承っておりません。
門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科|西宮市
よくある質問
Q. 歯周病の検査は、健康保険で受けられますか?
A. 歯ぐきを調べることも、歯周病の治療も、その治療としての歯石取りも、健康保険で行う流れです。調べるのは、ポケットの深さ、歯のぐらつき、出血の有無の3点が基本です。
Q. 口臭が気になるだけでも、診てもらえますか?
A. はい。お口の中にある口臭の原因として、いちばん多く考えられるのは歯周病です。 歯ぐきの状態を調べて、原因がどこにあるかを探していきます。
Q. 歯周病が進んだ歯でも、残せますか?
A. 残せるかどうかは、歯ごとに考えます。迷うときは、歯石取りなどの治療を一通り終えて、もう一度歯ぐきを調べてから決めます。 歯によっては、残すのが難しいと判断することもあります。見通しは結果をお伝えしながらご説明し、そのあとのことも含めて相談していきます。
Q. 治療が終わったら、もう通わなくていいですか?
A. 通い続けることが大切です。歯周病は再発しやすいので、状態が落ち着いたあとも、適切な間隔で通って、再発していないかを定期的に見ていきます。これを安定期治療といいます。
関連するページ
- 歯周病治療のページ(当院の治療の流れ)
- 歯がしみるとき、まず何を見ればいいか 歯ぐきが下がって歯の根が出ると、しみることがあります。
出典
- 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」(2022年)PDF p.13・26・47・85 https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_2022.pdf
- 日本歯周病学会「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2015」(2015年)PDF p.28 https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_plan2015.pdf
- 厚生労働省「令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要」(令和7年12月 修正版)表18・表19 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-17b_r06.pdf
- 日本臨床歯周病学会「歯周病とは?」 https://www.jacp.net/perio/about/
- 日本臨床歯周病学会「口臭について」 https://www.jacp.net/perio/halitosis/
- 門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科「歯周病治療」 https://hirokawa-dc.com/periodontal
内容は一般的な情報です。実際の診断は、お口を直接診たうえで行います。
最終確認日:2026年10月/次回見直し:2027年4月

院長・歯科医師
Masayuki Hirokawa / DDS PhD
- 略歴
- 兵庫県西宮市出身。2003年大阪歯科大学歯学部卒業後、大阪大学大学院歯科補綴第一講座にて博士課程修了(歯学博士)。2011年より広川歯科医院(現・門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科)院長に就任。
- 専門分野
- 補綴治療/インプラント/咬み合わせ治療/精密根管治療/予防歯科・歯周病治療/ブルーラジカル/メタルフリー治療/小児矯正・マウスピース矯正/口腔機能療法/訪問歯科診療
- 所属学会・グループ
- 日本歯科補綴学会/日本臨床歯周病学会/日本顎咬合学会/日本糖尿病協会(登録歯科医)/日本レーザー歯学会 ほか
- 診療方針
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「治療を繰り返さない口をつくること」を診療の根本に、削らない・神経を残す・予防とメンテナンスを通じて患者さん一人ひとりの「健康でありたい」という想いを支えています。
※本記事は院長が内容確認を行っています。 - 患者様へのメッセージ
- 1978年の開院以来、門戸厄神駅前で地域のかかりつけ歯科として診療を続けています。「これでいいのかな」と感じたときが、一番良いタイミングです。一緒に考えましょう


