ブログ
カテゴリー:
歯石が取れた、放っておいていい? 取れた後に確かめたいこと
歯石が取れて、気になっている方へ。取れたあとの歯ぐきの中の様子は、見ただけでは分かりません。
だからといって、あわてて自分でさらに取ろうとする必要もありません。この記事では、歯石が取れたあとに何が分からないのか、歯医者では何を確かめるのか、そして「続ける」「間隔を変える」「今は様子を見る」のどれを選ぶかを、順番にお話しします。
🦷 先に結論
今すぐ歯医者に行かないと危ない、とは言えません。そう言い切れる根拠は見つかっていません。ただ、歯ぐきの中の様子は見ただけでは分かりません。血が出る、腫れている、においが気になるときは、検査で確かめられます。検査で状態が分かると、続けるか、間隔を変えるか、様子を見るかを決めやすくなります。
歯石が取れたあと、何が分からないのか
歯石が取れたのは、歯についていた固まりが1つなくなった、ということです。歯の周りの状態が良くなったかどうかは、これだけでは分かりません。
歯石は、歯についた細菌のかたまり(プラーク、歯垢)が固まったものです。日本歯周病学会(歯周病を専門にする歯科医師たちの学会)が、歯医者向けに診療のやり方をまとめた手引き(ガイドライン)によると、歯石は表面がざらざらしていて、新しい歯垢がたくさんつきやすい形をしています。また、歯垢がたまりやすくなる原因のなかで、歯石をいちばん重要なものとしています。
つまり、歯石が心配なのは、歯石そのものより、歯石があると歯垢がたまりやすくなるからです。歯石が取れたあとも、歯垢がたまっていないかは、別に確かめる必要があります。
歯の上の歯石と、歯ぐきの中の歯石は別ものです
歯石は、できる場所で2つに分けて考えます。歯ぐきより上にあるものを「縁上歯石(えんじょうしせき)」、歯ぐきより下にあるものを「縁下歯石(えんかしせき)」と呼びます。日本歯周病学会のガイドラインでも、歯医者が歯石を取るときは、この両方を対象にしています。
| 場所 | 特徴 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 歯ぐきより上(縁上) | 歯の見える側にあるため、取る処置は比較的短時間で済むことが多いです(当院の記事 歯石取りは意味がない?) | 取れたかどうかを、ご自分で見分けられるとは限りません |
| 歯ぐきより下(縁下) | 歯と歯ぐきのあいだのみぞ(歯周ポケット)の中にあり、見えません | 歯周ポケットができている人では、その中をご自分で掃除することはできません |
歯周ポケットができている人では、その中をご自分で掃除することができません。中に歯垢が増えると、歯周病が進みやすくなる、と日本歯周病学会のガイドラインに書かれています。ただし、これは歯周病がある人についての説明です。歯ぐきの状態が軽い人に、そのまま当てはまるとは限りません。
📌 分かっていること
歯の上の歯石が取れても、歯ぐきの中に歯石が残っているかどうかは、見ただけでは分かりません。
ここで正直にお伝えしておきます。日本歯周病学会の資料(ガイドラインなど)を調べた範囲では、歯石が自然に取れたあとの歯ぐきの中を直接調べた記述は、確認できませんでした。ここまでの説明は、歯の上と歯ぐきの中では、見え方も手の届き方も違う、というガイドラインの内容をもとにしています。
自分で歯石を取ろうとすると、何が心配か
「残りも自分で取ってしまおうか」と迷う方もいらっしゃると思います。当院では、おすすめしていません(当院の別の記事 歯石取りは意味がない?「また付く」の理由と、取ったあとに変わること でもお伝えしています)。
先にお伝えしておくと、日本歯周病学会のガイドラインには、ご家庭で器具を使って歯石を取った場合に、どんな害がどのくらい起きるのかを調べた部分は、確認できませんでした。そのため、この記事では「必ず傷がつく」とは言いません。
当院がおすすめしない理由は、見えない場所を狙うことになるからです。上の別の記事では、鏡を見ながら、見えない歯ぐきの下を狙うのはむずかしい、とお伝えしています。
参考:歯医者での歯石取りは、こんな処置です
ここからは、歯医者で行う歯石取りについて、ガイドラインに書かれていることを紹介します。ご家庭で器具を使う場合の話ではありません。
- 歯ぐきの中の歯石や歯垢は、歯周ポケットが深いほど取りにくくなります。
- 3 mmより浅い所に必要のない処置をすると、歯と歯ぐきのつながりを失う危険がある、と書かれています。
- 歯の根の表面を器具で削りすぎると、歯周病の治療にとってかえって良くない場合がある、という研究が紹介されています。
- 歯石を取ったあとに、一時的にしみることがある、とも書かれています。
そのため、歯医者では、先に検査で歯ぐきの深さを確かめることが大事になります。
取れたあとに、歯医者で確かめられること
歯医者で確かめるのは、取れた歯石ではなく、今の歯ぐきの状態です。当院の予防治療の流れは、次のとおりです。
歯ぐきの検査と、レントゲン
当院の予防治療の流れ(予防治療のページ)では、まず歯周病検査で、歯ぐきの出血、歯周ポケットの深さ、歯のぐらつきを調べます。次に、口の中の写真とレントゲンで、虫歯の有無や歯ぐきの腫れ、歯ぐきの中の骨(歯槽骨)の状態を確かめます。そのうえで、検査の内容をもとにプランをご提案します。
日本歯周病学会のガイドラインでは、検査の目的は、歯周病の進み具合や原因を知り、正しい診断と治療計画を立てることとされています。また、検査の結果は記録して、次の検査のときに比べるとされています。記録があれば、「前より良くなった」「変わらない」を、見た目の印象ではなく記録で見比べられます。
クリーニングの場合、初回は検査を中心に約60分、2回目以降は40〜50分が目安です。内容によって変わります(西宮で歯のクリーニング:保険適用・頻度・当院の流れ)。
通う間隔の考え方
次に気になるのは、「どのくらいの間隔で通うか」だと思います。
歯周病でない方の間隔について、当院の別の記事(西宮で歯のクリーニング:保険適用・頻度・当院の流れ)では、2024年に国立保健医療科学院の雑誌に載った国内の総説が、国際的な考え方として、3〜24か月の範囲で、状態を見て一人ひとり決めると紹介している、と載せています。3か月から2年までと幅があり、人によって違います。
一方、歯周病の治療を終えた方については、日本歯周病学会のガイドラインに、一般に1〜3か月ごとが望ましいと書かれています。状態に合わせて、通う間隔を短くしたり長くしたりします。この「1〜3か月」は、歯周病の治療を終えた人の目安です。歯周病でない人に、そのまま当てはめる数字ではありません。
どちらの場合も、あなたの間隔は、検査の結果を見て決めることになります。
続ける・間隔を変える・今は様子を見る、の選び方
通っている方も、まだ通っていない方も、選択肢は3つあります。決めるのは、あなたです。
🌱 しばらく行けていなくても大丈夫です
何年も歯医者に行っていない場合でも、いまの歯ぐきの状態を確かめるところから始められます。まだ通っていない方は、まず検査を受けて、状態を知るところからで大丈夫です。
続ける
日本歯周病学会のガイドラインでは、歯周病の治療を受けた人は、状態が落ち着いたあとも再発しやすいため、適切な間隔で通い続けることが大切だとされています。「良くなったから終わり」とせず、ときどき確かめる意味があります。ただしこれは、治療を受けた人についての指針です。歯石が取れただけの人に「通わないと悪くなる」と言うものではありません。
間隔を変える
「前は3か月だったけれど、いまは出血もない」「逆に、最近歯ぐきが気になる」など、状態が変わったときは、間隔も変えられます。間隔は、検査の結果を見ながら見直すものです。
今は様子を見る
すぐに通わない、という選び方もあります。その場合は、次のような変化が出たら、一度みてもらうことをおすすめします。当院の別の記事(歯石取りは意味がない?)では、次のようなときを目安にしています。
- 歯みがきのときに血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れぼったい
- 口のにおいが気になるようになった
どれを選ぶ場合でも、毎日のご自分の歯みがきは欠かせません。日本歯周病学会のガイドラインは、毎日のご自分の歯みがきなどのセルフケアを、歯周治療のいちばんの土台としています。そのうえで、ご自分では届きにくい所を、歯科衛生士や歯科医師が器具できれいにする、という組み合わせを勧めています。
保険になるか、自費になるか
当院の考え方では、歯ぐきの検査で歯肉炎や歯周病と診断され、その治療として歯石を取る場合は、健康保険の対象になります。病気がない状態で、予防や見た目のために行うクリーニングは自費です。どちらに当たるかは、検査の結果で決まります(西宮で歯のクリーニング:保険適用・頻度・当院の流れ)。
保険になるか自費になるかが検査の結果で決まるため、ここでは金額を書いていません。金額の目安は、診察のうえでご案内します。
よくある質問
Q. 歯石が取れたら、すぐ歯医者に行かないといけませんか?
A. 「すぐに行かないと危ない」とまでは言えません。ただ、歯石が取れても、歯ぐきの中の様子は分かりません。血が出る、腫れている、においが気になるときは、早めに検査を受けてください。
Q. 検査では何をしますか?
A. 歯ぐきの出血、歯周ポケットの深さ、歯のぐらつきを調べます。あわせて、口の中の写真とレントゲンで、歯ぐきの中の骨の状態も確かめます(予防治療のページ)。
Q. 1回で終わりますか?
A. 歯石の量や歯ぐきの状態によっては、複数回に分かれることがあります。初回の検査のときに、あなたの場合の見通しをお伝えします(西宮で歯のクリーニング:保険適用・頻度・当院の流れ)。
Q. 自分で歯石を取ってもいいですか?
A. 当院では、おすすめしていません。理由は、この記事の「自分で歯石を取ろうとすると、何が心配か」の項にまとめました。
🦷 まずは、いまの歯ぐきの状態を知ることから
続けるか、間隔を変えるか、様子を見るか。どれを選ぶにしても、検査で状態が分かっていると決めやすくなります。
WEB予約
LINE相談
ご予約は24時間受付のWEB予約が確実です。ご質問や操作にお困りのときはLINE相談へどうぞ。ご家族の方が代わりにご予約いただくこともできます。
お電話(050-1784-7497)は自動音声のご案内のみで、電話でのご予約は承っておりません。
門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科|西宮市・門戸厄神駅 徒歩1分
あわせて読みたい
※この記事は一般的な情報です。お口の状態には個人差がありますので、実際の判断は診察のうえでご案内します。
出典
- 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」(2022年)https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_2022.pdf
- 歯石の成り立ちとスケーリングの目的(PDF p.46)
- 歯周ポケットの内部は患者自身で清掃できない(PDF p.19)
- 歯肉縁下の歯石の取りにくさ、浅い部位への処置の危険性(PDF p.47)
- 器具による歯質の取りすぎ、処置後の一時的な知覚過敏(PDF p.46)
- セルフケアとプロフェッショナルケア(PDF p.45)
- 歯周病の検査(PDF p.29)
- 来院間隔(リコール間隔)の考え方(PDF p.85)
- 病状が安定したあとの継続管理(PDF p.26)
- 当院のページ:予防治療(予防治療の流れ)、西宮で歯のクリーニング:保険適用・頻度・当院の流れ(所要時間・保険と自費・歯周病でない方の間隔。間隔は同記事が紹介する小坂健の総説〔保健医療科学 2024〕による)、歯石取りは意味がない?「また付く」の理由と、取ったあとに変わること(ご自分で取ることへの当院の記事、受診の目安、縁上歯石の処置の長さ)

院長・歯科医師
Masayuki Hirokawa / DDS PhD
- 略歴
- 兵庫県西宮市出身。2003年大阪歯科大学歯学部卒業後、大阪大学大学院歯科補綴第一講座にて博士課程修了(歯学博士)。2011年より広川歯科医院院長に就任。
- 専門分野
- 補綴治療/インプラント/咬み合わせ治療/精密根管治療/予防歯科・歯周病治療/ブルーラジカル/メタルフリー治療/小児矯正・マウスピース矯正/口腔機能療法/訪問歯科診療
- 所属学会・グループ
- 日本歯科補綴学会/日本臨床歯周病学会/日本顎咬合学会/日本糖尿病協会(登録歯科医)/日本レーザー歯学会 ほか
- 診療方針
-
「治療を繰り返さない口をつくること」を診療の根本に、削らない・神経を残す・予防とメンテナンスを通じて患者さん一人ひとりの「健康でありたい」という想いを支えています。
※本記事は院長が内容確認を行っています。 - 患者様へのメッセージ
- 1978年の開院以来、門戸厄神駅前で地域のかかりつけ歯科として診療を続けています。「これでいいのかな」と感じたときが、一番良いタイミングです。一緒に考えましょう


