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院長コラム

歯石取りは意味がない?「また付く」の理由と、取ったあとに変わること|西宮市の歯科

🦷 先に結論から

「取ってもまた付く」——これは誤解ではありません。歯石は一度取れば終わりというものではなく、また付いてきます。ただ、歯石取りの目的は「ゼロにすること」ではありません。歯ブラシが届く状態に戻し、歯ぐきの炎症を管理しやすくすることが目的です。ですから「取って終わり」で完結させると、たしかに手ごたえが薄くなります。

歯石を取ってもらった数か月後、鏡を見てまた付いているのに気づく。そうすると「あれは何だったのだろう」と思うのが自然だと思います。痛みがあったわけでもなく、何回か通って、また元に戻る。意味がないのでは、と感じるのは筋の通った疑問です。

この記事では、その疑問をいったんそのまま受け止めたうえで、歯石取りが実際に何をしているのかをお話しします。読み終えたときに「やっぱり必要だな」と思う方も、「今は様子を見よう」と思う方もいると思います。どちらでも構いません。 判断の材料になれば十分です。

「また付く」こと自体は、珍しいことではありません

歯石ができる流れを整理します。

食後、歯の表面には細菌のかたまり(プラーク・歯垢)が付きます。これは歯ブラシで落とせます。落としきれずに残ると、唾液に含まれるカルシウムなどを取り込んで硬くなっていきます。石灰化は早い場合1〜数日で始まるとされますが、歯石になる速さには大きな個人差があります。

🌱 磨き方が悪いから、とは限りません

丁寧に磨いていても、歯並びや歯周ポケットの深さによって、プラークが残りやすい場所があります。付きやすさには唾液の性質なども関わります。再び付くこと自体は珍しくありませんので、付いた量と場所を確認して、お手入れの仕方を調整していきます。

問題は「また付いたかどうか」ではなく、付いたものが何をしているかのほうにあります。

歯石そのものより、その周りで起きていることが問題です

歯石は硬く、表面がざらざらしています。このざらつきに新しいプラークが付きやすく、しかも歯ブラシでは落ちません。結果として、歯ぐきの際に細菌が留まりやすい場所ができます。

歯ぐきはそこで炎症を起こします。ここで用語を分けておきます。炎症が歯ぐきに限られている段階を歯肉炎といい、この段階では歯を支える骨は失われていません。炎症が歯を支える組織や骨にまで及んだ状態を歯周炎といいます。歯肉炎が必ず歯周炎に進むわけではなく、進み方には個人差があります。

歯周病は初期には目立った症状が出ないこともあります。そのため、見た目や自覚だけで判断せず、出血の有無、歯ぐきの腫れ、歯周ポケットの検査をもとに評価します。

見える歯石と、見えない歯石

歯石には2種類あります。ここは「1回で終わらない理由」に関わる話です。

種類 どこにあるか 取るときの違い
歯ぐきより上(縁上歯石) 下の前歯の裏、上の奥歯の外側に多い。白っぽいことが多い 見える位置にあるため、比較的短時間で済むことが多い
歯ぐきより下(縁下歯石) 歯周ポケットの中。黒褐色で硬いことが多い 見えない場所を手の感覚で確認しながら進める

「1回で終わると思っていたのに何回も来ることになった」と感じる場合、歯ぐきの下の歯石除去など、状態によって複数回に分けることがあります。一度に広い範囲を触ると歯ぐきの負担が大きいため、区画を分けて進めることもありますし、麻酔を使う場合もあります。

においが気になり始めたときは

口臭の原因はひとつではありません。舌の汚れ(舌苔)、唾液の減少、むし歯、耳鼻咽喉科の病気など、さまざまな要因があります。

そのうえで、歯周病や歯石の周りのプラークがにおいに関係している場合には、歯周治療によって軽くなることがあります。細菌が留まる場所が減るためです。ただし歯石を取れば必ず解消する、というものではありません。

ご自分のにおいは自覚しにくく、人にも聞きにくいことだと思います。気になり始めたこと自体が、みてもらうきっかけとして十分です。

見た目について

歯と歯ぐきの境目が黒っぽく見えることがあります。原因は黒褐色の縁下歯石のこともあれば、着色、むし歯、詰め物の変色のこともあり、見た目だけでは判別できません。

いずれにしても、見た目のために取るというより、その周りで起きている炎症のほうが本題です。結果として見た目も整う、という順序で考えていただくのがよいと思います。

歯ぐきの炎症は、口の中だけの話ではありません

歯周病は全身の状態とも関わることがわかってきています。とくに糖尿病との関係は研究が積み重なっており、糖尿病と歯周炎を併せ持つ方では、歯周治療の後に血糖の指標(HbA1c)が改善したという報告があります。ただしこれは糖尿病の治療に代わるものではありません。

この領域は別の記事で詳しくお話ししています。歯石取りが「口の中の掃除」にとどまらない理由として、あわせてお読みいただければと思います。

  • 糖尿病と歯周病の関係|なぜなりやすい?症状・メカニズムをわかりやすく解説(/6678.html)
  • 糖尿病と歯周病|歯周治療でHbA1cが改善する根拠と当院の医科歯科連携体制(/6672.html)

よく聞く「デメリット」を、正直にお話しします

歯石取りのあとに起きることを、良い面だけ書くのは誠実ではないと思うので、そのまま挙げます。

歯と歯の間がスカスカする感じ:歯石がなくなり、炎症による腫れが引くと、もともとあった隙間や歯ぐきの下がり(歯肉退縮)が目立つことがあります。歯が減ったわけではありません。

しみる(知覚過敏):根の面や象牙質が露出している場合、処置のあとに一時的にしみることがあります。時間とともに軽くなることが多いのですが、続く場合は対処法がありますのでお伝えください。

出血する:炎症のある歯ぐきは出血しやすく、また器具による一時的な刺激でも出血することがあります。炎症が落ち着くにつれて出血は減っていきます。

痛みを感じることがある:とくに歯ぐきの下の歯石を取るときです。我慢せずお伝えいただければ、麻酔を使う、範囲を分けるといった調整ができます。

📌 ご自分で取るのはおすすめしません

市販の器具で歯石を削る方法が紹介されていることがありますが、鏡越しに、しかも見えない歯ぐきの下を狙うのは容易ではありません。歯の表面に傷が付くと、そこに汚れが付きやすくなることがあります。歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。取れた実感はあっても、条件が悪くなる場合があります。

では、何のために取るのか

ここまでを踏まえると、歯石取りの位置づけがはっきりします。

歯石を取ることは、ゴールではなくスタートです。歯石で覆われていた場所に歯ブラシの毛先が届くようになり、歯ぐきの炎症を管理しやすい状態に戻ります。

🦷 取るだけで終わると、手ごたえは薄くなります

取って、そのまま何も変えず、また溜まってから取る。これを繰り返すだけでは、行ったり来たりになりやすいと思います。炎症が引き、どこが磨けていなかったかを一緒に確認するところまで含めると、日々のお手入れが届く範囲が変わってきます。

通う間隔は、人によって違います

「何か月に一度がいいですか」とよく聞かれます。正直にお答えすると、全員に共通する正解はありません

歯石の付きやすさは、唾液の性質、歯並び、歯ぐきの状態、喫煙の有無などで変わります。3か月ごとが合う方もいれば、半年で十分な方もいます。歯周病が進んでいる時期には、より短い間隔で確認させていただくこともあります。

大切なのは間隔そのものより、ご自分の付きやすさと、磨きにくい場所を知っておくことだと考えています。

受診を考えてもよいタイミング

📌 こんなときは一度みてもらってください

歯みがきのときに血が出る/歯ぐきが赤く腫れぼったい/口のにおいが気になるようになった/下の前歯の裏に固いものを感じる/前回の歯石取りから1年以上あいている。症状がなくても、検査で状態がわかることがあります。

よくあるご質問

Q. 1回で終わることはありますか

A. 歯ぐきより上の歯石だけであれば、1回で終わることもあります。ポケットの中まで及んでいる場合は、区画に分けて複数回になることがあります。

Q. 歯石を取れば歯周病は治りますか

A. 歯石取りは歯周病治療の中心的な処置のひとつですが、それだけで完結するものではありません。炎症が引いたあとの状態を保てるかどうかで、その後が変わります。

Q. 歯石を取ると歯が削れませんか

A. 歯質への影響をできるだけ抑えながら歯石を除去します。処置のあとに一時的な違和感やしみる感じが出ることがあります。

Q. 保険は使えますか

A. 歯周病などの診断に基づき、必要な検査・治療として行う歯石除去は保険診療の対象になります。審美を目的としたクリーニングなどは自由診療になる場合があります。

🦷 「意味あるのかな」のままで構いません

納得してから続けるほうが、結局は長く続きます。今のお口がどういう状態で、どのくらいの間隔が合いそうなのか。それを知るところからで大丈夫です。相談だけでも歓迎です。

ご予約は24時間受付のWEB予約が確実です。ご質問や操作にお困りのときはLINE相談へどうぞ。ご家族の方が代わりにご予約いただくこともできます。

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※この記事は一般的な情報です。お口の状態には個人差がありますので、実際の判断は診察のうえでご案内します。

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門戸厄神 ひろかわファミリー歯科・矯正歯科(旧・広川歯科医院)

TEL:050-1784-7497

この記事を書いた人
門戸厄神 ひろかわファミリー歯科・矯正歯科(旧・広川歯科医院)院長・歯科医師 廣川 雅之
門戸厄神 ひろかわファミリー歯科・矯正歯科(旧・広川歯科医院)

院長・歯科医師
廣川 雅之
Masayuki Hirokawa / DDS PhD
略歴
兵庫県西宮市出身。2003年大阪歯科大学歯学部卒業後、大阪大学大学院歯科補綴第一講座にて博士課程修了(歯学博士)。2011年より広川歯科医院院長に就任。
専門分野
補綴治療/インプラント/咬み合わせ治療/精密根管治療/予防歯科・歯周病治療/ブルーラジカル/メタルフリー治療/小児矯正・マウスピース矯正/口腔機能療法/訪問歯科診療
所属学会・グループ
日本歯科補綴学会/日本臨床歯周病学会/日本顎咬合学会/日本糖尿病協会(登録歯科医)/日本レーザー歯学会/POIC研究会/IAOMT-Asia ほか
診療方針

「治療を繰り返さない口をつくること」を診療の根本に、削らない・神経を残す・予防とメンテナンスを通じて患者さん一人ひとりの「健康でありたい」という想いを支えています。
※本記事は院長が内容確認を行っています。

患者様へのメッセージ
1978年の開院以来、門戸厄神駅前で地域のかかりつけ歯科として診療を続けています。「これでいいのかな」と感じたときが、一番良いタイミングです。一緒に考えましょう