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虫歯を様子見しているとどうなる? 症状の目安と、歯を守る進め方
「虫歯をこのままにしたら、どうなるのだろう」。ご自身やご家族の歯が気になって調べている。そのこと自体が、歯を守る第一歩です。
先に、大事なことを三つお伝えします。
この記事の要点
- 虫歯は早く見つけても、すぐに削るとは限りません。できるだけ削らずに守れる形を、お口を診たうえで一緒に考えます。
- 痛みがあるかないかだけでは、歯の中の状態は見分けられません。
- 穴があいてしまった虫歯は、自然には元の状態に戻りません。
虫歯は、自然に元に戻りますか?
穴があいてしまった虫歯は、時間がたっても自然には元の状態に戻りません。日本歯科保存学会のう蝕(うしょく・虫歯のこと)治療の指針(2015年)も、いったん穴があくと自然にふさがることはなく、時間とともに広がっていく、と示しています。風邪は休めば治りますが、歯は、一度失った部分がまた生えてくることはありません。
ただ、穴があく前の段階は別です。歯の表面が白く濁ったり、茶色いしみのように見えたりする段階なら、削らずに進みを抑えられることがあります。同じ指針では、この段階の歯にフッ化物(フッ素を含む薬)を塗ることを「強い推奨」としています。歯垢(しこう・歯の表面につく細菌のかたまり)を落とし、糖分をとる回数を減らすことも、進みを抑える土台です。
どの段階にあるかで、進め方が分かれます。
| 今の段階 | 進め方の目安 |
|---|---|
| 穴があく前(白く濁る・茶色いしみ) | 削らずに、フッ化物と歯みがき・間食の見直しで進みを抑えます。今の範囲を記録し、次に診る時期を決めて比べます。 |
| 穴があいたあと | 自然にはふさがらないので、虫歯の部分を取り、詰め物で補うのが基本です。削る量はできるだけ少なくします。 |
| 神経まで届いた(何もしなくてもズキズキする) | 神経を残せるかを診て決めます。残せない場合は、神経の治療をしてから歯を補います。 |

穴があく前なのか、もう穴があいているのかは、お口を見てみないと分かりません。小さな虫歯には、フッ化ジアンミン銀(塗った部分が黒くなる、虫歯の進行を抑える薬)を使う場合もあります。一度では効果が得られにくいので、検診のたびに繰り返し塗って、進み方を抑えていきます。塗れる歯か、塗らない方がよい歯かは、診察で決めます。くわしくは虫歯進行止めの薬の記事をご覧ください。
症状から見る、虫歯の進み方の目安
症状で並べると、次のような目安になります。同じ症状でも原因はいくつもあるので、目安は目安として見てください。
| 気づく症状 | 考えられること |
|---|---|
| 冷たいものがしみる | 知覚過敏(歯ぐきが下がったり、歯が欠けたりして、しみる状態)か、虫歯のどちらかが考えられます。虫歯が原因のときは、進んでいることもあります。どちらかは、お口を診れば見分けられます。 |
| 何もしていないのにズキズキする | 虫歯が深く、神経まで届いている可能性があります。 |
| 噛んだときに鈍い痛みや違和感がある | 歯の根っこが膿んでいる、または根っこが割れたり、ひびが入ったりしている可能性があります。噛み合わせの当たり方が原因のこともあります。 |
ズキズキするときも、神経を残せる方法を探します
何もしていないのにズキズキするときは、虫歯が神経(歯の中を通る血管と神経の束)まで届いている可能性があります。この段階では、神経を残すのはむずかしいことも多いです。日本歯科保存学会の指針でも、何もしなくてもズキズキする痛みがある歯や、その痛みがあった歯は、虫歯の一部を残したまま神経を守る治療の対象から外しています。
それでも、残せる方法がないかを先に探します。ズキズキがあるときは、早めに今の状態を確かめましょう。神経を残せないと分かった場合は、神経の治療をしてから歯を補います。歯そのものを残せないと分かった場合も、周りの歯や歯ぐきを守るために必要な理由をご説明し、納得していただいてから進めます。
よくある誤解
「痛みが止まった」は「落ち着いた」とは限りません
痛みが引くと、ほっとします。ただ、痛みの強さは、歯の中の状態をそのまま映すとは限りません。日本歯科保存学会と日本歯内療法学会の歯髄保護の指針(2024年)は、神経の炎症が元に戻らない段階まで進んでいても症状が出ない場合があること、そして痛みの訴えや通常の神経の検査だけでは、炎症の程度や進み具合を正確にはつかめないことを挙げています。
今どうなっているかは、お口の中の診察と、レントゲン撮影で確かめます。レントゲンでは、虫歯の深さに加えて、歯の根の先や、歯ぐきの中の骨の状態も見ることができます。
「しみる」は「虫歯」とは限りません
冷たいものがしみる原因には、知覚過敏もあります。歯ぐきが下がって根元が出たり、歯の表面がすり減ったりすると、虫歯がなくてもしみます。どちらなのかは、診察で見分けます。
「治療が終わった」は「元に戻った」とは限りません
詰め物や被せ物は、失った部分を補うものです。補った部分には寿命があり、やり直すたびに、多少なりとも歯を削る必要があります。だから、治療が終わったあとも、補った歯とまわりの歯を守り続けることが大切です。
歯を長く使うために、できるだけ削らずに残します
虫歯の治療は、歯を元に戻すものではありません。削った部分を、詰め物や被せ物で補うものです。歯の大きさには限りがあり、削れる回数にも限りがあります。
さらに、神経を取った歯は、もろくなります。先ほどの歯髄保護の指針が引く2018年の抜歯原因の調査では、抜くことになった歯の62.7%が神経を取った歯で、歯の根が割れる「歯根破折」も、神経を取った歯に圧倒的に多く起きていました。だから当院は、できるだけ歯を削らずに、神経も残すことを大切にしています。
治療が終わったあとも、補った歯とまわりの歯を守っていきます。定期的に、新しい虫歯ができていないか、歯ぐきに変化がないかを確かめます。新しい虫歯が見つかったときも、できるだけ削らずにすむ進め方をご提案します。
診たあと、進め方は一緒に決めます
検査でわかること
当院では、口の中の写真を撮り、レントゲンで歯ぐきの中の骨の状態まで調べます。結果をもとに、歯科医師が今の状態をお伝えします。そのうえで、ご希望を伺いながら進め方を決めます。
経過を見ることになった場合
経過を見ることになった場合も、今の状態を記録します。次に診る時期を一緒に決めて、今回の記録と比べながら、変化を確かめます。
記録がないと、あとで「変わったのか、変わっていないのか」を比べられません。一度、今の状態を記録しておくと、そのあと経過を見るときに比べられます。
ご自宅のケアを続けていることは、良いことです
毎日の歯みがきや、ご自宅でのケアを続けていることは、とても良いことです。そのうえで、今の歯が良い状態に保てているかを、検査で一緒に確かめていきましょう。
磨き残しやすい場所は、人によって違います。歯ブラシや歯ぐきの状態によって、合う磨き方も変わるので、診察のときに確かめて、一人ずつに合わせてお伝えします。間食の回数やフッ化物の使い方も、虫歯には大切です。
検査と検査のあいだに、しみる、ズキズキする、黒い穴に気づく、詰め物の様子が変わった、といった変化があれば、早めにご相談ください。
治療の先にある、毎日のこと
たとえば、好きな物を気にせず噛み続けたい。人と話すときに、口元を気にしたくない。食事も夜の眠りも、痛みに邪魔されずに過ごしたい。検査や治療は、そんな毎日を続けるための土台づくりです。結果をお約束するものではありませんが、今のお口の状態を知ることが、その土台になります。
よくあるご質問
Q. 痛くなければ、このままで大丈夫ですか?
A. 痛みがなくても、大丈夫かどうかは、お口を見ないと分かりません。今の状態を歯科医師がお伝えし、このまま経過を見るかどうかも、ご希望を伺いながら一緒に決めます。
Q. 小さな虫歯が見つかったら、すぐに削りますか?
A. すぐに削るとは限りません。穴があく前の浅い段階なら、歯みがきや間食の見直し、フッ化物を使って進み方を抑えながら、記録を比べて経過を見ることもあります。削るかどうかは、歯科医師の診断をもとに、ご希望を伺いながら決めます。
Q. 歯の神経は残せますか?
A. 当院は、歯の神経を残すことを大切にしています。ただし、神経の状態は、診てみないと分かりません。今の状態を確かめながら、残せる方法があるかを考えます。
くわしくは、悩み別の治療法のご案内と、予防治療の流れもご覧ください。
予約の前に
受付では、気になっていることをそのまま伝えていただければ十分です。たとえば、こんな言い方で通じます。
- 「右の奥歯が冷たいものでしみるので、虫歯かどうか診てほしいです」
- 「痛みは今はないのですが、黒くなっている歯があるので、全体を調べてほしいです」
Q. 久しぶりの歯医者で、何から話せばいいですか?
A. 「しばらく来ていなかったので、まず全体を診てほしい」とお伝えください。それだけで、こちらで順番を組みます。気になりながらそのままにしている歯があるのは、珍しいことではありません。厚生労働省の歯科疾患実態調査(2024年)では、治療していない虫歯のある人は全体の28.2%で、60歳以上ではどの年代も30%を超えていました。
Q. 費用が心配で、先に知りたいのですが
A. 受付で「費用の目安も聞きたい」とお伝えください。今の状態が分かってから、進め方ごとの費用の見通しをご説明します。
ご予約について
お口の今の状態を、検査で確かめましょう。
ご予約は24時間受付のWEB予約が確実です。ご質問や操作にお困りのときはLINE相談へどうぞ。ご家族の方が代わりにご予約いただくこともできます。
お電話(050-1784-7497)は自動音声のご案内のみで、電話でのご予約は承っておりません。
出典
- 日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン 第2版」(2015年)p.3・17・18・137 https://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/file/guideline_2015.pdf
- 日本歯科保存学会・日本歯内療法学会「歯髄保護の診療ガイドライン」(2024年)p.10・12・48 https://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/file/guideline_2024.pdf
- 厚生労働省「令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要」(令和7年12月 修正版)p.9・表11 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-17b_r06.pdf
- 門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科「悩み別治療法のご案内」(/nayami)
- 門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科「予防治療」(/prevent)
- 門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科「虫歯進行止めの薬について」(/5929.html)
この記事は一般的な説明です。お口の状態は人によって違います。実際の診断と、進め方のご提案は、診察のうえで歯科医師が行います。

院長・歯科医師
Masayuki Hirokawa / DDS PhD
- 略歴
- 兵庫県西宮市出身。2003年大阪歯科大学歯学部卒業後、大阪大学大学院歯科補綴第一講座にて博士課程修了(歯学博士)。2011年より広川歯科医院(現・門戸厄神ひろかわファミリー歯科・矯正歯科)院長に就任。
- 専門分野
- 補綴治療/インプラント/咬み合わせ治療/精密根管治療/予防歯科・歯周病治療/ブルーラジカル/メタルフリー治療/小児矯正・マウスピース矯正/口腔機能療法/訪問歯科診療
- 所属学会・グループ
- 日本歯科補綴学会/日本臨床歯周病学会/日本顎咬合学会/日本糖尿病協会(登録歯科医)/日本レーザー歯学会 ほか
- 診療方針
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「治療を繰り返さない口をつくること」を診療の根本に、削らない・神経を残す・予防とメンテナンスを通じて患者さん一人ひとりの「健康でありたい」という想いを支えています。
※本記事は院長が内容確認を行っています。 - 患者様へのメッセージ
- 1978年の開院以来、門戸厄神駅前で地域のかかりつけ歯科として診療を続けています。「これでいいのかな」と感じたときが、一番良いタイミングです。一緒に考えましょう


